2015年2月14日土曜日

賃貸繁忙期の深夜営業

先日、銀座の事務所で仕事をしていると、

「渡辺さん、送りましょか?」

と、声をかけられました。

お相手は、同じオフィスで働くPM(プロパティマネジメント)のT内君です。

私のような者にも、気を遣ってくださる数少ない先輩のひとりです。(現職は中途採用での入社なので、若い先輩が多いのであります。)

現職シーエフネッツは、不動産コンサルタント会社ですが、若いスタッフも活躍しています。

この時期は、賃貸の繁忙期になりますので、首都圏を中心に管理物件をもつシーエフネッツとしては、延べウン百という退去と入居が、発生します。

いわゆる繁忙期というやつです。

とにかく、朝から深夜まで、休む暇もない状態にもかかわらず、私を気遣ってくれるわけですから、素晴らしく人間ができていると感心致しました。

私も、見習わなければいけません

ということで、車に乗り込み、深夜のドライブが始まります。

私の自宅までは、道路がすいていれば、銀座から30分かかりません。
程なく、車はコインパーキングへ入りました。

私の自宅へは、あと少しの距離です。


事態を飲み込めずにいる私に、彼がひと言いました。

「ちょっと、寄り道します。」

なるほど、ついでの用があったようです。

「ついてきてください。」
と、声をかけられたので、仕事スイッチをオフにして、気の抜けていた私は、慌てて車から降り、彼の後をついていきます。



大通りから裏路地の、商店街に入っています。

なるほど!隠れ家的なお勧めの飲み屋で一杯飲もうということでしょうか。アド街ック何とかというやつですね。

自分は車の運転で飲めないにもかかわらず、それでも酒の席を用意しようということでしょうか。私の誕生日を覚えててくれたのかもしれないと、期待に胸が膨らみます。

どんどん、商店街を進んでいきます。

そして、人気のない裏路地に入っていきました。

「つきましたよ。」

そう淡々と話す彼の目の前には、アパートがありました。

彼はおもむろに、そのアパートの前にあった、70Lサイズのゴミ袋を確認し、駐輪中の自転車を整列させ、建物の周囲をのぞき込み、他に異常がないことを確かめると、三つあったゴミ袋のひとつを私に手渡しました。


「では行きましょう。」

私は、彼の言うがままに、ゴミ袋を片手にもち、来た道を戻りました。

「ちょと待て!ちょと待て!お兄さん!ついてこい言うたけど、放置ゴミ回収しにきただけちゃいますの〜?」

流石に、私の鈍い勘ピューターにも状況が把握できました。

放置ゴミは、放火の原因にもなりかねませんから、早急な撤去がベストなのであります。

夜な夜なYouTubeで覚えた最新のツッコミを使ってみました。

「そうですよ。」

彼は、満足そうな笑みを浮かべながら、私の問いかけに答えてくれました。流石にラッスンなんとかとは言ってくれません。

「か、隠れ家で一杯、、、」

そう言いかけた私に被せるように彼はこう言いました。

「この後、もう一件巡回しますので、途中で家の近くに降ろしますよ。」

そう言う彼に、私も思わず、

「あ、ありがとう。」

と、返すしかありませんでした。

いやしかし、私は彼の仕事を手伝ってあげた事になった気もするが、

いやしかし、プロ業者として当たり前のことをしているのだから、歯磨きした後に、洗面台を磨くような、ついで事のような気もするが、、、。

帰りの車中でそんな事を考えていると、彼がひと言、

「こういうスタイルで働くようになったのも、渡辺さんの影響ですよ。」

なるほど、そうですね。

仕事も恋も、惚れたもん負け。

体を張って、行くとこまで行くしかないのであります。

とことんやれば、どんな仕事も好きになるという理屈です。

惚れた私が悪いのか。
迷わすお前が悪いのか。
旅は道連れ、世は情け。

そして、

これから退去される入居者のあなた

お願いです。

ゴミも残さず引っ越してください。

恋も引越しも、別れ際が大事です。

なんつって!

●わたなべ日報● 発行人:渡辺章好 
※本ブログは、私の体験を元にしたフィクションです。
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